川口市の本年度予算には、「川口駅周辺再開発検討事業」として1,232万円が計上され、栄町3丁目などの約14haという広範な地域で、建築基準法で許されている容積率の上限を十分に活用していない土地の把握をしていくとされております。こうした大義名分の一方で、この施策の真の目的は、川口駅東口において、わざわざ新たな再開発のタネを探す調査であると私は捉えております。
しかし、ここで冷静に考える必要があると思います。今の川口市に駅前再開発は本当に必要なのでしょうか。改めて問い直したいと思い6月市議会で質問いたしました。
【そもそも川口駅前の再開発事業は必要か】再開発事業とは、不健全な都市機能の改善事業というのが大義名分であります。しかし駅前再開発事業は、大義名分として語られるキレイ事のもとで、結局は駅前の一等地に不動産を持つお金持ちのために市民の貴重な税金が投入されるだけの結果に往々にしてなります。
【84人の権利者に100億円の税金が】現に、ほぼ完成した川口駅前の栄町3丁目銀座地区の再開発事業では、川口市からの税金だけで約35億円も市民の貴重な税金が投入されていますが、当該再開発の権利者は個人・法人あわせてたったの84人です。
60万人いる市民の中のたった84人の権利者にかかわる再開発事業に市からの税金投入だけで約35億円。国・県の補助額を合わせたら約100億円の税金がつぎ込まれました。日本は私有財産の国ではないのか。と言いたくなるほどの不公平だと感じます。
【川口駅前に土地を持つ権利者に税金で支援する必要性はあるのか】そもそも川口駅前は川口市の中では一番不動産的価値がある地域です。その川口駅前に不動産を持っているような権利者に、再開発の名のもとに税金で支援する必要があるのでしょうか。ちなみに川口駅東口の駅前の土地であれば坪単価300万円しても不思議ではありません。40坪持っているだけで市場価値は1億2000万円にもなります。そんな土地の所有者に税金投入するほど川口市の財政に余裕があるのでしょうか。それこそ市場の採算性に任せて開発行為を促す方が良いのではないでしょうか。川口駅周辺に再開発がこれ以上必要だと言う根拠は見当たりません。
【再開発事業で一番メリットを受けるのは誰か】再開発事業では、誰が一番メリットを受けるのでしょうか。
街並みが整理されれば地域住民にも一定のメリットになります。それは事実ですが、多額の税金を投入して老朽化したビルがピカピカのビルに生まれ変わる、ごくごく一部の権利者が一番得をするのは明らかです。市民のごくごく一部でしかない事業区域内の権利者は、税金が多額に投入される再開発事業において一番大きなメリットを受けると言えます。
【駅前再開発事業には多額の税金投入をする一方で、遅れたままの市民生活の基盤整備】川口市は、再開発を実施する理由として、駅前再開発で新たなビルに入居するテナントや居住者から税収が入ることを挙げますが、川口駅前で少々税収を増やすために、市内の郊外地域が放置されて良いはずがありません。優先的に取り組むべきは、遅れたままの郊外地域の生活基盤整備です。例えば、
◎市民が日々使う生活道路の「とまれ」の等の道路標識や白線が消えたまま
◎予算不足で遅々として進まない区画整理などのまちづくり
◎終わっていない下水道整備(市内には汲み取り便所が約900軒)
◎予算不足で危険箇所が放置されたままの通学路の一刻も早い改善
◎高齢者や足の不自由な方にとって非常に危険なデコボコのままの歩道の改修
◎利便性の低いコミュニティバス(みんななかまバス)の路線見直し、増便
◎買い物弱者支援として、また高齢者やベビーカー利用者の足としてのオンデマンド型公共交通機関の創設などなど
駅前再開発ではなく、市民生活の基盤整備こそ優先すべき!【税金投入を前提とした古い再開発事業は中止すべき】
【もし再開発するのなら・・・】
現在、川口市が進めようとしている従来型の税金投入を前提とした再開発はすべて中止すべきです。そんなお金があるのなら、上記の市民生活の基盤整備にこそ予算を使うべきです
そして、駅前の計画的な整備のためには、それこそ市場の採算性に任せて民間主導の開発行為を政策的に促すルール作りを川口市が担っていくべきです。
これからの社会で、必要な再開発があるなら、確実な収益から逆算して事業規模を決め、開発から運営まで一貫した民間の事業主体への投融資審査を厳しく行い、公共の財政支出に頼らず、民間投資による都市整備を目指すという再開発にシフトしていくべきだと考えております。
posted by 木岡たかし at 14:36|
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