2023年6月の川口市議会定例会は、4月の市議選改選後、最初の定例会となります。
改めてこの間の川口市政を俯瞰して見ますと、市民の意見をもっと聞けるのにあえて聞かずに、多くの事業を進めていると感じます。要するに、まちづくりを住民と一緒に取り組むという姿勢に欠けているように私には見えます。
そもそも地方自治とは、それぞれの地方の運営を、そこに住む住民の意思に基づいて行うことを言います。地域のことはその地域の住民の意思で決めるという大原則です。
こうした本来の地方自治から考えると、今の川口市の姿勢は非常に問題があると考えております。市長、ぜひ、市民の意見をもっともっと聞く努力をしてください。この点を申し上げて質問に入ります。
【2023年6月2日〜3日にかけての大雨について】
川口市では6月2日午前2時くらいに雨が降り始め、翌3日午前10時くらいまで約30時間にわたって降り続きました。
私の住む東川口では、本年(2023年)3月から武蔵野線高架下のアンダーパス等の雨水対策として約7,100トンの容量がある貯留施設が供用開始していました。貯留施設の供用開始後、最初の大雨が今回だった訳です。
※武蔵野線高架下のアンダーパス等の雨水対策として作られた貯留施設とは・・・戸塚地区の佐藤第二公園から、武蔵野線沿いの北側道路の地下に巨大な土管のような貯留施設を設けて、降雨時に約7,100トンの水をためられる施設のことで、2023年3月から稼働しています。
今回の大雨においては、貯留施設が稼働していたことは地域にとって浸水被害軽減につながったことは雨量の推移を見れば明らかです。しかし同時に貯留施設が稼働していてもなお、冠水・浸水する自然の猛威を再認識させられました。
どんなに施設面での対策を講じても、それを上回る自然災害が起き得ることを認識して今後の対策を練る必要があると改めて考えております。
地域の皆さんの声も含めて、6月定例会では以下のことを市側に提案しました。
◎木岡の質問・・・市民への災害情報の発信方法・内容の改善について
武蔵野線高架下のアンダーパスの冠水、浸水について、2日夕方の激しい雨が降った場合、以前の貯留施設の稼働前であれば、その時点で冠水、浸水していたと思います。しかし、貯留施設が稼働していた今回は、夕方の大雨を乗り切ったため、私を含めて地域住民の中に一定の安心感のようなものが生まれていました。
ところが、実際は2日夕方時点で貯留施設は半分程度、雨水が溜まっていました。この時点で、排水できればよかったのですが、放流先の中川・綾瀬川が早い段階から水位が上がり、その影響で伝右川の水位も上昇していたため、ほとんど排水作業が進みませんでした。
そのため、貯留施設から排水がほとんどできないまま、2日午後10時以降の大雨により一気に貯留施設が満杯になり、道路冠水、床下浸水につながってしまいました。
近隣住民からは「貯留施設もあり夕方の豪雨を乗り切ったので安心して、今までだったら車を避難させていたのにしなかった。そしたら水没してしまった」といった声を複数聞きました。同時に、「貯留施設の貯留状況を分かっていれば対策を打てた」「貯留施設が、あふれる前段階で、もっと雨量や貯留状況の情報が欲しかった」といった声が多く聞かれました。
どんなに災害対策の施設面を整備しても、それを超える自然現象が起こることは不可避です。そうであるならば、行政として今どういった状況なのかをもっとこまめにリアルタイムで住民に提供する必要があると思います。
今日は東川口の例を挙げておりますが、これは全市共通の課題であると思います。現に、2日に川口市のホームページでは、市内の避難所が開設されたことは分かりましたが、それ以外の大雨に関する情報はほぼありませんでした。
これほどスマホも普及している訳ですから、今後は川口市として市民に対して、いま、どこで、どれほど雨が降っているのか、河川の水位がどうなっているのか、貯留施設の稼働状況はどうなっているのか、などTwitterやLINEなどのSNSも活用して逐一情報発信していくべきだと考えますが、市の見解をお示しください。
市側の回答(抜粋)・・・市民の皆さんの最適な避難行動につながるよう、貯留施設等の水量や降雨に関する情報を、庁内全体での横断的な情報連携を図り、災害時の迅速な情報発信に努めるとともに、安心・安全なまちづくりを目指し、治水対策をはじめ都市基盤整備にもスピード感をもって取り組んで参ります。
質問するにあたり、以下の点などを下水道推進課や危機管理課などと話し合いを持ちました。
今までの川口市では、避難情報や避難所開設についての情報発信はしておりましたが、貯留施設の貯留状況や市内5カ所ある観測点の降雨状況、市内の河川の水位などについて情報発信をしておりませんでした。
また、貯留施設の水のたまり具合や伝右川の水位状況について下水道推進課は把握していましたが、一方で、市民への警報や避難などのアナウンスは危機管理課の仕事でした。こうした縦割り行政の弊害も情報発信が足りなかった原因だと思います。ですから、庁内の横断的連携強化が必要だということです。
答弁では、貯留施設の貯留状況や市内の降雨量を市民に情報発信する仕組みを各部局横断的に作る旨の答弁が市長からなされました。前向きな一歩と捉えております。こうした市民へのリアルタイムでの情報提供は、担当課である下水道推進課からも、また情報発信の取りまとめ役の危機管理課からも重層的に発信すれば良いと思います。台風シーズンは始まったばかりです。早急に情報発信の仕組みを構築するよう、引き続き改善を求めていきます。