反対理由は主に3点です。
反対理由その1・・・そもそも市直営をやめて指定管理とする必要性がない
市側は、いままでの川口市が直接運営する方式をやめて、民間事業者に指定管理する理由について、民間の知恵やノウハウを活用することを挙げますが、いままでの市直営であっても若手芸術家支援の展示など高く評価されている事業を展開しておりましたし、何か問題があった訳でもありません。あえて、指定管理に切り替える必要性はありません。
また、これまで市側は指定管理を導入する理由として、財政的メリットがあることを強調してきました。要するに、「直営で運営するより指定管理とした方が安上がりだから」としてきました。しかし、今回の補正予算を見ますと、指定管理としても、運営費等はほぼ変わらず、財政的メリットは全くありません。
※指定管理によってコストを削る方法は、ほとんどの場合に人件費カットで実現するため、低賃金の公務職場を作るだけになってしまいます。ですから、わたし木岡は財政的理由だけで指定管理を導入すること自体には反対の立場です。
反対理由のその2・・・適正な管理運営ができるのか、丸投げ再委託の危険性があるのでは・・・。
今回、アトリアと旧田中家住宅の運営を指定管理する場合の委託先である株式会社21世紀文化芸術研究室・有限会社アプリュスアソシエイツが、いずれもアトリアと旧田中家住宅の管理・運営を適正にこなせるのか、答弁を聞いてもなお大いに疑問がある点です。
2社の概略
〇株式会社21世紀文化芸術研究室 ⇒ 主にアトリアの管理を担当予定
代表者氏名:岡村睦美氏
設立年月日:2020年9月23日
従業員数:10名(内2名は役員)
〇有限会社アプリュスアソシエイツ ⇒ 主に旧田中家住宅の管理を担当予定
代表者氏名:高田純嗣氏
設立年月日:1997年3月24日
従業員数:1名(内1名が役員)
設立後2年2ヵ月しか経過しておらず、役員以外の従業員数が8名しかいない株式会社21世紀文化芸術研究室に、職員が7人から8人程度必要となるアトリアの管理運営が適正に行えるのか、市側の答弁では納得できませんでした。
また、有限会社アプリュスアソシエイツに至っては、役員が1人の会社ですから、何をかいわんやであります。
結局、この2社がトンネル会社となり、中抜きをして再委託、丸投げのような事態になることはないのか質問しましたが、そうした危惧を払しょくするだけの答弁は、市側からありませんでした。
反対理由その3・・・市側との出来レースではないか!と、うがった見方をしたくなるほどの関係性
@ 株式会社21世紀文化芸術研究室と「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」の審議員とNPO法人アート・コア・川口の関係性について
今回、指定管理を受ける株式会社21世紀文化芸術研究室の代表取締役を務める岡村睦美氏は、この間、川口市の市立美術館建設構想にも深くかかわってこられた方です。2020年当時の「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」においてもアドバイザーとしてかかわりました。しかも審議員の16名の内6名が、岡村睦美氏が理事を務めるNPO法人アート・コア・川口の関係者が占めていたのです。ちなみに、「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」の会長は、利根忠博氏で、NPO法人アート・コア・川口の筆頭格の理事でもあります。
当時、私の所属する会派は、約60万人もの人口を抱える川口市の美術館の在り方を審議する審議会において、16名しかいない委員の内6名もの委員が、一つのNPO法人から選出されていることは、行政の公平性・中立性の観点から問題があるのではないかと指摘しておりました。
A NPO法人アート・コア・川口と奥ノ木市長の関係性について
〜事業報告書のほぼ唯一の【事業の成果】に奥ノ木市長、新藤義孝衆議院議員の名前が・・・。〜
このNPO法人アート・コア・川口が、埼玉県に提出した2021年度の事業報告書を見ますと、【事業の成果】として以下の一文が記載されておりました。
『理事会は書面にて行われ、総会は密にならない広い会場で、感染防止対策を充分に行いながら1年ぶりにリアルで開催された。総会後に行った懇親講演会では、コロナ過における市政や国政、芸術支援等に関するテーマを軸として、川口市長奥ノ木信夫氏や衆議院議員の新藤義孝氏に話をしていただいた』
2021年度の【事業の成果】の中心が、市長を招いての懇親講演会というNPO法人だと私には読めます。
B 住所がみんな一緒・・・。
〇今回、アトリアの指定管理を受ける株式会社21世紀文化芸術研究室(代表取締役:岡村睦美氏)の所在地
⇒ 川口市栄町3−105−15―2 3階。
〇株式会社21世紀文化芸術研究室の代表取締役を務める岡村睦美氏が理事を務め、「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」において16名中6名もの審議員・アドンバイザーを輩出していたNPO法人アート・コア・川口の所在地
⇒ 川口市栄町3−105−15―2 3階。
〇そして、他にもこの「川口市栄町3−105−15―2 3階」の住所を置く法人があります。有限会社エスパス・ミウ 店舗名:埼玉画廊。そしてこの有限会社エスパス・ミュウの代表取締役社長が、岡村睦美氏です。
要するに、どれも岡村睦美氏にかかわりのある法人だと言うことです。そして、その岡村睦美氏が率いる株式会社21世紀文化芸術研究室が、アトリアの指定管理委託化に伴って委託先に選定されたことについて、ちょっと繋がり過ぎじゃないだろうか、行政の公平性・中立線の観点から問題があるのではないか、と考えているところです。
奥ノ木市長に近しい人たちの中だけで、川口市の市立美術館構想やアトリアの運営までもが回されているように見えてなりません。『李下に冠を正さず』という言葉があります。悪いことをしているのではないか、と疑いを招くような言動は、しない方がよい、という戒めの言葉でありますが、行政や政治家というのは、この言葉を普通の市民以上にかみしめなければならないと思います。
こうした観点から、12月市議会定例会に川口市が提案した川口市アートギャラリー・アトリアと旧田中家住宅を市直営から指定管理委託とする議案と補正予算に反対をしました。
※今回のブログで書きました個人・法人の固有名詞は、いずれも法人登記簿やインターネットを見れば簡単にわかる公開情報から収集したものです。また見解については、あくまでもわたし木岡の私見であることをお断りしておきます。
追記:これまでの記事で、有限会社アプリュスアソシエイツの代表者が、川口市の元副市長とご兄弟であるとした記述がありましたが、事実ではないことが判明を致しましたので、ここに訂正させていただきます。関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけしてしまった事、また、お読みいただいた皆様にも不正確な記述をしてしまった事を心よりお詫び申し上げます。以後、こうした事実誤認を起こさぬよう細心の注意を払って参ります。大変申し訳ございませんでした。