2022年12月22日

アトリアの指定管理委託において行政の公平性・中立性が疑われる事態が・・・。

12月19日の川口市議会の環境経済文教常任委員会において、川口市のアートギャラリー・アトリアと旧田中家住宅の管理・運営を、現在の川口市直営方式から指定管理(民間に管理・運営を委託する一類型)に切り替えて、その委託先を株式会社21世紀文化芸術研究室・有限会社アプリュスアソシエイツとすることを提案する議案と補正予算が審議されました。わたし木岡の所属する会派は以下の理由により反対しました。

反対理由は主に3点です。

反対理由その1・・・そもそも市直営をやめて指定管理とする必要性がない
市側は、いままでの川口市が直接運営する方式をやめて、民間事業者に指定管理する理由について、民間の知恵やノウハウを活用することを挙げますが、いままでの市直営であっても若手芸術家支援の展示など高く評価されている事業を展開しておりましたし、何か問題があった訳でもありません。あえて、指定管理に切り替える必要性はありません。
また、これまで市側は指定管理を導入する理由として、財政的メリットがあることを強調してきました。要するに、「直営で運営するより指定管理とした方が安上がりだから」としてきました。しかし、今回の補正予算を見ますと、指定管理としても、運営費等はほぼ変わらず、財政的メリットは全くありません。
※指定管理によってコストを削る方法は、ほとんどの場合に人件費カットで実現するため、低賃金の公務職場を作るだけになってしまいます。ですから、わたし木岡は財政的理由だけで指定管理を導入すること自体には反対の立場です。

反対理由のその2・・・適正な管理運営ができるのか、丸投げ再委託の危険性があるのでは・・・。
今回、アトリアと旧田中家住宅の運営を指定管理する場合の委託先である株式会社21世紀文化芸術研究室・有限会社アプリュスアソシエイツが、いずれもアトリアと旧田中家住宅の管理・運営を適正にこなせるのか、答弁を聞いてもなお大いに疑問がある点です。
2社の概略
〇株式会社21世紀文化芸術研究室 ⇒ 主にアトリアの管理を担当予定
 代表者氏名:岡村睦美氏
 設立年月日:2020年9月23日
 従業員数:10名(内2名は役員)

〇有限会社アプリュスアソシエイツ ⇒ 主に旧田中家住宅の管理を担当予定
 代表者氏名:高田純嗣氏
 設立年月日:1997年3月24日
 従業員数:1名(内1名が役員)

設立後2年2ヵ月しか経過しておらず、役員以外の従業員数が8名しかいない株式会社21世紀文化芸術研究室に、職員が7人から8人程度必要となるアトリアの管理運営が適正に行えるのか、市側の答弁では納得できませんでした。
また、有限会社アプリュスアソシエイツに至っては、役員が1人の会社ですから、何をかいわんやであります。
結局、この2社がトンネル会社となり、中抜きをして再委託、丸投げのような事態になることはないのか質問しましたが、そうした危惧を払しょくするだけの答弁は、市側からありませんでした。


反対理由その3・・・市側との出来レースではないか!と、うがった見方をしたくなるほどの関係性
@ 株式会社21世紀文化芸術研究室と「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」の審議員とNPO法人アート・コア・川口の関係性について
今回、指定管理を受ける株式会社21世紀文化芸術研究室の代表取締役を務める岡村睦美氏は、この間、川口市の市立美術館建設構想にも深くかかわってこられた方です。2020年当時の「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」においてもアドバイザーとしてかかわりました。しかも審議員の16名の内6名が、岡村睦美氏が理事を務めるNPO法人アート・コア・川口の関係者が占めていたのです。ちなみに、「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」の会長は、利根忠博氏で、NPO法人アート・コア・川口の筆頭格の理事でもあります。
当時、私の所属する会派は、約60万人もの人口を抱える川口市の美術館の在り方を審議する審議会において、16名しかいない委員の内6名もの委員が、一つのNPO法人から選出されていることは、行政の公平性・中立性の観点から問題があるのではないかと指摘しておりました。

A NPO法人アート・コア・川口と奥ノ木市長の関係性について
〜事業報告書のほぼ唯一の【事業の成果】に奥ノ木市長、新藤義孝衆議院議員の名前が・・・。〜

 このNPO法人アート・コア・川口が、埼玉県に提出した2021年度の事業報告書を見ますと、【事業の成果】として以下の一文が記載されておりました。
 『理事会は書面にて行われ、総会は密にならない広い会場で、感染防止対策を充分に行いながら1年ぶりにリアルで開催された。総会後に行った懇親講演会では、コロナ過における市政や国政、芸術支援等に関するテーマを軸として、川口市長奥ノ木信夫氏や衆議院議員の新藤義孝氏に話をしていただいた』
 2021年度の【事業の成果】の中心が、市長を招いての懇親講演会というNPO法人だと私には読めます。

B 住所がみんな一緒・・・。
〇今回、アトリアの指定管理を受ける株式会社21世紀文化芸術研究室(代表取締役:岡村睦美氏)の所在地
⇒ 川口市栄町3−105−15―2 3階。
〇株式会社21世紀文化芸術研究室の代表取締役を務める岡村睦美氏が理事を務め、「川口市美術館基本構想・基本計画審議会」において16名中6名もの審議員・アドンバイザーを輩出していたNPO法人アート・コア・川口の所在地
 ⇒ 川口市栄町3−105−15―2 3階。
〇そして、他にもこの「川口市栄町3−105−15―2 3階」の住所を置く法人があります。有限会社エスパス・ミウ 店舗名:埼玉画廊。そしてこの有限会社エスパス・ミュウの代表取締役社長が、岡村睦美氏です。

要するに、どれも岡村睦美氏にかかわりのある法人だと言うことです。そして、その岡村睦美氏が率いる株式会社21世紀文化芸術研究室が、アトリアの指定管理委託化に伴って委託先に選定されたことについて、ちょっと繋がり過ぎじゃないだろうか、行政の公平性・中立線の観点から問題があるのではないか、と考えているところです。
奥ノ木市長に近しい人たちの中だけで、川口市の市立美術館構想やアトリアの運営までもが回されているように見えてなりません。『李下に冠を正さず』という言葉があります。悪いことをしているのではないか、と疑いを招くような言動は、しない方がよい、という戒めの言葉でありますが、行政や政治家というのは、この言葉を普通の市民以上にかみしめなければならないと思います。


こうした観点から、12月市議会定例会に川口市が提案した川口市アートギャラリー・アトリアと旧田中家住宅を市直営から指定管理委託とする議案と補正予算に反対をしました。

※今回のブログで書きました個人・法人の固有名詞は、いずれも法人登記簿やインターネットを見れば簡単にわかる公開情報から収集したものです。また見解については、あくまでもわたし木岡の私見であることをお断りしておきます。

追記:これまでの記事で、有限会社アプリュスアソシエイツの代表者が、川口市の元副市長とご兄弟であるとした記述がありましたが、事実ではないことが判明を致しましたので、ここに訂正させていただきます。関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけしてしまった事、また、お読みいただいた皆様にも不正確な記述をしてしまった事を心よりお詫び申し上げます。以後、こうした事実誤認を起こさぬよう細心の注意を払って参ります。大変申し訳ございませんでした。
posted by 木岡たかし at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 川口市議会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月11日

川口市の給食費について 気になる答弁

9日から始まっている川口市議会12月定例会の一般質問において、気になる答弁が出ました。
一つ目は、12月9日書きました水道料金の件。もう一つは、給食についてです。

給食の一食当たり単価の引き上げ分について、来年度(2023年4月)以降も保護者負担としない旨の答弁が出ました。

昨今の物価高を受けて、川口市の教育委員会は、川口市給食運営審議会の結論を基に給食費の一食当たり単価を本年10月より引き上げています。(小学校は、一食当たり35円UPの273円、中学校は、一食当たり45円UPの324円)
その引き上げ分について、現在は、国の交付金を使って保護者に新たな負担を求めていません。それを2023年4月以降も市が負担する方針が示されたのです。この市の姿勢は、評価して良いと思います。

わたし木岡は、本年9月市議会において、物価高の中での給食費の問題を取り上げ、給食費の無償化と同時に、給食の質を確保するために一食当たり単価の引き上げること、新たな保護者負担を求めないことを提案しておりました。

【以下は、木岡の9月市議会での質問要旨】
ア、学校給食費の無償化を
 市民生活を直接支援する施策として、小・中学校の学校給食費の無償化もその一つです。給食費は児童生徒1人当たり月額約4,000円です。子どもが2人3人と小・中学校に通っていれば、大きな負担額です。子ども2人分であれば月額約8,000円の1年分ですから、年額で80,000円〜90,000円にもなります。
 いま急激な物価高が進行しています。皆さんも日々のお買い物などでお感じのことと思います。そうした今、給食費が無償化されれば、子育て世帯の家計が助かるだけではなく、無償化された分の多くが消費に回ります。これが地域の活性化にもつながるのです。こうした地域経済の循環こそ必要ではないでしょうか。

イ、給食費の無償化とセットで給食単価の引き上げを
 現在の給食の現実をご存じでしょうか。小学校に通う我が家の2人の子どもから言われて愕然としたのですが、「生の果物が出る回数は以前より減った」「牛肉は見たことがない」「サクランボは一人一粒」。以前は、もう少し生の果物も出ていたけど、最近は本当に減ったそうです。
 子どもたちが学校で食べている給食にかける費用は、消費税が上がった時を除いて、ここ十年変わっていません。この間の物価上昇時も1食単価は変わっていないため、実際に食材費に掛けられる費用が減っているのです。そのしわ寄せは、給食の内容に反映されています。給食の単価が低すぎるため、現場の栄養士さんらは本当に苦労されていると思います。『食育』と言いながら、給食に予算を割かない政治と行政に責任があります。子どもたちにかける予算を根本的に増やすべきです。
 そこで、給食の単価を適切に値上げすべきです。ただし同時に、保護者に負担を転嫁するのではなく、食育と言うからには、しっかりと行政が責任を負って保護者負担の無い形で給食の単価を引き上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。


来年4月以降も保護者に、給食の一食当たり単価の引き上げ分の追加負担を求めない市の姿勢は、評価できると思います。

次の課題は、給食の質の向上を図りながら、給食費を無償化することです!
市はこれまで、財源がないとの理由で拒否しておりますが、家計で言うところの貯金にあたる『財政調整基金』の活用や、年間予算の使い残しである『決算剰余金』を活用するなどの提案をしていきます。
さらに、大型のハコモノ事業である『川口駅への中距離電車停車のための駅舎(線路やホームまで)改修費用300億円』『川口駅周辺に集中する道路工事予算300億円』『市立美術館構想の建築費だけで30億円以上』こうした事業の廃止or見直しを進めて財源をねん出することを提案していきます。
posted by 木岡たかし at 23:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 教育関連問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年12月09日

川口市の水道料金の今後について、気になる答弁が出ました

昨日(12月9日)から川口市議会12月定例会の一般質問が始まりました。
昨日の質疑の中で、特にご報告が必要なことが2つ(水道料金・給食費)ありました。

一つ目は、川口市の水道料金に今後についてです。

そもそも川口市の水道料金は、2021年1月から平均的世帯で約25%値上げされています。
また、川口市水道局が供給する水道の8割以上は、埼玉県から購入している県水です。

物価高騰の中、県水が値上がりした場合など、水道料金の今後の見通しについて、質問がされ、以下のような答弁が出ました。

『県水について2024年までは、今の価格を据え置くことを埼玉県から確約されている。その後、もし県水が値上げされても、川口市としては直ちに水道料金の改定をすべきではないと考えている。(要旨)』

要するに、県水が値上げされても当面は、川口市の水道料金は値上げしませんよ。という事でした。
これはこれで、悪い方針ではないと思います。

しかし、身の回りの多くの物が値上がりしている現在の急激な物価高の中で、毎日の生活に苦しさを感じている市民を支援するには、これでは足りません。今求められるのは、当面水道料金を引き下げることです。

例えば、基本料金相当額の部分を免除するなど!
posted by 木岡たかし at 20:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 水道料金について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする