いじめ事案に対する川口市の学校と市教育委員会の対応に問題があったため損害を受けたとして、元生徒さんが訴えた裁判の判決が本日ありました。
判決後の弁護団の記者会見での発言から何点かご報告します。同時に、本いじめ事案について取り組んできた市会議員として、また、本日の裁判も傍聴したわたし木岡の感じた点についても言及します。話が色々とあったので、繰り返し同じ内容が出てくる部分があり、また長文となってしまった点、ご容赦ください。
まず、本判決では、川口市の違法性を以下の3点にわたり認めました。
@ 元生徒が所属していた部活の元顧問による体罰
A 川口市教育委員会が、いじめ防止対策推進法に基づく『重大事態』の調査を行わなかったこと
B 当時の校長や部活顧問が、いじめ事案について、「いじめは無かった」と発言したこと
その上で、本判決の意義は、
@ いじめ不登校の事案において、いじめ防止対策推進法の『重大事態』の調査を行わないことは違法と認定した初めての判決だということ
イ) 旭川市の凄惨ないじめ事案でも指摘されているように、教育現場において『重大事態』に関する調査すら行わないことが、いじめ被害の拡大を招いているという大問題に対して、一石を投じる判決と言える。
ロ) いじめ防止対策推進法の施行から8年余り、現場ではいまだに法の趣旨を尊重せずに、『重大事態』の調査を行わないことが横行している。この『重大事態』の調査を行わないことが損害賠償の対象となった意義が本判決にはある。
ハ) 『重大事態』に該当するのに調査すらしない教育現場の極めて後ろ向きな対応に対して、裁判所が判決において、調査を怠れば違法になるということを示した大きな判決である。
A いじめがあったかどうか分からない段階で、現場の校長や教職員の「いじめではない」とした発言が国家賠償法上の損害賠償の対象となった画期的な判決である。
そして、被害生徒さん側の弁護団より、今回の裁判において、川口市の主張は際立って驚くべき点が多かったとして、特に以下の3点について言及がありました。
1. いじめ防止対策推進法は、欠陥法だから守らなくても良いと主張した点。
2. 元生徒が不登校になったのは母親の責任としたストーリーを証拠も無しに憶測のみで主張した点。これは、自らの自治体の市民である個人の人格を貶めるような主張を裁判の場でした点で特異なものである。
3. いじめ事案を調査する第3者委員会の事務局を務めた市職員が、後日、裁判になったら被害者にとって不利な証言(※しかも事実に反する)をした点もあり得ない主張だった。もしこんなことが許されたら、いじめ調査のための第3者委員会で安心して証言できない。
やはり、いじめ調査の第3者委員会は、教育委員会から完全に独立した機関が実施するように、法改正が必要です。
原告の元生徒さんの母親からは、以下のような発言がありました。※あくまでも私がメモ出来た範囲での要旨になります。
まず、ここまで長かった。支えていただいた沢山の方に感謝します。息子は当初から、元校長や元顧問、教育長、市教委が、「記者会見では謝るのに、なぜ僕には謝ってくれないの」と言って苦しんできた。
判決中の事実認定が違うところもあるが、(今回の判決で)国家賠償法上の違法が認められたことは良かった。
(本いじめ事案で)誰よりも傷ついたのは息子、本人は市長、教育長、元校長、元顧問らに謝ってほしいと言い続けている。
会見中に、元生徒さんのコメントがお母さんから示されました。とても印象的な部分が以下です。
「生きているから良いじゃないかという声があるけど、僕は悔しくて、苦しくて、つらい。生きているから良いんじゃなくて、生きているから苦しいんだ」
※後日、コメント全文をいただいたら正確な文書に直します。
未来を生きるはずの子どもにこんな思いをさせる学校、教育現場、そして社会であってはいけないと強く強く強く思います。私も一緒に悔しい。
また、記者会見中に以下のような趣旨の指摘もありました。
市民の立場に立つはずの川口市議会、川口市議会議員。そして、市を監視すべき市議会、市議会議員が今に至っても、立憲民主党会派の市議会議員以外のほとんどの市議は無関心のまま。川口市で起きたいじめ事案なのだから、市議会でももっと対応していただきたい。
※立憲民主党会派以外にも無所属の市会議員でこの問題に取り組まれていた方々がいます。
この点については、わたし木岡も言いたいことは山ほどあります。
ほとんどの川口市議会議員は、川口市議会において本いじめ事案について、被害生徒に寄り添った議会活動をしていません。
本いじめ事案について、いじめがあったか無かったかという点が分からなくとも、まずは被害を訴えている元生徒さんの声にもっともっと耳を傾けるべきではないでしょうか。そこから初めてわかることもあるはずです。
さらに、いじめを訴えた元生徒さんへの当時の学校と市教委の対応があまりにも杜撰であり、元生徒に寄り添っていなかったことは、色々な証言や資料から明らかでした。にもかかわらず、積極的に本いじめ事案にかかわらないどころか、あたかも元生徒さん側に問題があるかのような市教委の一方的な言説をそのまま受け入れて、もう一方の当事者の話を真摯に聞く姿勢すら示さなかった市会議員が多勢であったと私は感じております。
いじめ事案に対して、こんな不誠実な対応しか取れない市議会議員は、次回の選挙で全員落選してほしいと心から願っております。
言い過ぎかもしれませんが、わたし木岡の偽りのない本音です。
現在開会中の川口市議会12月定例会では、本いじめ事案を扱える機会がありませんが、2月下旬から始まる次回の定例会において、またこの問題を取り上げます。
子どもたちの声や思いより、川口市教育長の保身や川口市教委の組織防衛を優先する姿勢を改めてもらい、何より子どもたちの声に寄り添う川口市教育委員会になるよう全力で質問します。
わたし木岡の2021年2月号の市政レポート号外に、本いじめ問題を特集しております。
木岡たかしの公式ホームページよりご覧いただけると幸いです。