2021年12月15日

川口市のいじめ裁判の判決が示されました! 〜川口市教育委員会側の国家賠償法上の違法性を認めて損害賠償を認めました〜

〜川口市教育委員会側の違法性を認めて元生徒側に損害賠償を認めました〜

いじめ事案に対する川口市の学校と市教育委員会の対応に問題があったため損害を受けたとして、元生徒さんが訴えた裁判の判決が本日ありました。

 判決後の弁護団の記者会見での発言から何点かご報告します。同時に、本いじめ事案について取り組んできた市会議員として、また、本日の裁判も傍聴したわたし木岡の感じた点についても言及します。話が色々とあったので、繰り返し同じ内容が出てくる部分があり、また長文となってしまった点、ご容赦ください。

 まず、本判決では、川口市の違法性を以下の3点にわたり認めました。
@ 元生徒が所属していた部活の元顧問による体罰
A 川口市教育委員会が、いじめ防止対策推進法に基づく『重大事態』の調査を行わなかったこと
B 当時の校長や部活顧問が、いじめ事案について、「いじめは無かった」と発言したこと

 その上で、本判決の意義は、
@ いじめ不登校の事案において、いじめ防止対策推進法の『重大事態』の調査を行わないことは違法と認定した初めての判決だということ
イ) 旭川市の凄惨ないじめ事案でも指摘されているように、教育現場において『重大事態』に関する調査すら行わないことが、いじめ被害の拡大を招いているという大問題に対して、一石を投じる判決と言える。
ロ) いじめ防止対策推進法の施行から8年余り、現場ではいまだに法の趣旨を尊重せずに、『重大事態』の調査を行わないことが横行している。この『重大事態』の調査を行わないことが損害賠償の対象となった意義が本判決にはある。
ハ) 『重大事態』に該当するのに調査すらしない教育現場の極めて後ろ向きな対応に対して、裁判所が判決において、調査を怠れば違法になるということを示した大きな判決である。
A いじめがあったかどうか分からない段階で、現場の校長や教職員の「いじめではない」とした発言が国家賠償法上の損害賠償の対象となった画期的な判決である。

 そして、被害生徒さん側の弁護団より、今回の裁判において、川口市の主張は際立って驚くべき点が多かったとして、特に以下の3点について言及がありました。
1. いじめ防止対策推進法は、欠陥法だから守らなくても良いと主張した点。
2. 元生徒が不登校になったのは母親の責任としたストーリーを証拠も無しに憶測のみで主張した点。これは、自らの自治体の市民である個人の人格を貶めるような主張を裁判の場でした点で特異なものである。
3. いじめ事案を調査する第3者委員会の事務局を務めた市職員が、後日、裁判になったら被害者にとって不利な証言(※しかも事実に反する)をした点もあり得ない主張だった。もしこんなことが許されたら、いじめ調査のための第3者委員会で安心して証言できない。

やはり、いじめ調査の第3者委員会は、教育委員会から完全に独立した機関が実施するように、法改正が必要です。


原告の元生徒さんの母親からは、以下のような発言がありました。※あくまでも私がメモ出来た範囲での要旨になります。
 まず、ここまで長かった。支えていただいた沢山の方に感謝します。息子は当初から、元校長や元顧問、教育長、市教委が、「記者会見では謝るのに、なぜ僕には謝ってくれないの」と言って苦しんできた。
 判決中の事実認定が違うところもあるが、(今回の判決で)国家賠償法上の違法が認められたことは良かった。
 (本いじめ事案で)誰よりも傷ついたのは息子、本人は市長、教育長、元校長、元顧問らに謝ってほしいと言い続けている。



会見中に、元生徒さんのコメントがお母さんから示されました。とても印象的な部分が以下です。

「生きているから良いじゃないかという声があるけど、僕は悔しくて、苦しくて、つらい。生きているから良いんじゃなくて、生きているから苦しいんだ」
※後日、コメント全文をいただいたら正確な文書に直します。

未来を生きるはずの子どもにこんな思いをさせる学校、教育現場、そして社会であってはいけないと強く強く強く思います。私も一緒に悔しい。




また、記者会見中に以下のような趣旨の指摘もありました。

市民の立場に立つはずの川口市議会、川口市議会議員。そして、市を監視すべき市議会、市議会議員が今に至っても、立憲民主党会派の市議会議員以外のほとんどの市議は無関心のまま。川口市で起きたいじめ事案なのだから、市議会でももっと対応していただきたい。
※立憲民主党会派以外にも無所属の市会議員でこの問題に取り組まれていた方々がいます。

この点については、わたし木岡も言いたいことは山ほどあります。
ほとんどの川口市議会議員は、川口市議会において本いじめ事案について、被害生徒に寄り添った議会活動をしていません。
本いじめ事案について、いじめがあったか無かったかという点が分からなくとも、まずは被害を訴えている元生徒さんの声にもっともっと耳を傾けるべきではないでしょうか。そこから初めてわかることもあるはずです。

さらに、いじめを訴えた元生徒さんへの当時の学校と市教委の対応があまりにも杜撰であり、元生徒に寄り添っていなかったことは、色々な証言や資料から明らかでした。にもかかわらず、積極的に本いじめ事案にかかわらないどころか、あたかも元生徒さん側に問題があるかのような市教委の一方的な言説をそのまま受け入れて、もう一方の当事者の話を真摯に聞く姿勢すら示さなかった市会議員が多勢であったと私は感じております。
いじめ事案に対して、こんな不誠実な対応しか取れない市議会議員は、次回の選挙で全員落選してほしいと心から願っております。
言い過ぎかもしれませんが、わたし木岡の偽りのない本音です。



 現在開会中の川口市議会12月定例会では、本いじめ事案を扱える機会がありませんが、2月下旬から始まる次回の定例会において、またこの問題を取り上げます。
子どもたちの声や思いより、川口市教育長の保身や川口市教委の組織防衛を優先する姿勢を改めてもらい、何より子どもたちの声に寄り添う川口市教育委員会になるよう全力で質問します。


わたし木岡の2021年2月号の市政レポート号外に、本いじめ問題を特集しております。
木岡たかしの公式ホームページよりご覧いただけると幸いです。
posted by 木岡たかし at 22:04| Comment(0) | いじめ問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月13日

川口市“10万円給付”は全額現金の方針に!

 本日(12月13日)、川口市子ども部より、いわゆる“10万円給付”について、10万円全額を現金で支給する方針であると説明がありました。現時点での“10万円給付”の改善点と問題点を検証したいと思います。
 ちなみに、わたし木岡も所属する会派「川口新風会」として、12月10日(金)に“10万円給付”について以下の2点の要望を川口市に伝えていました。
1, 迅速性を重視して、全額現金での支給をすること
2, 子育て世帯の支援という目的を達成するため、所得制限なく支給すること

@ 全額現金で給付すべき
〜クーポンは経費(税金)の無駄遣いでしかない〜

当初、“10万円給付”について、半額の5万円を来年クーポンで配布する方針を国が示しておりましたが、967億円もの多額の経費が掛かるため多くの批判が寄せられていました。そうした批判を受けて、本日(12月13日)の衆議院予算委員会において、岸田首相が自治体の判断で全額を年内に現金で給付しても良いとの方針を示しました。全額現金給付が認められた事は良かったのですが、自治体の判断ではなく、原則現金給付とすべきだと思います。
同時に、政府の方針転換を受けて川口市が、10万円全額を現金で支給する方針を示したことは一歩前進だと考えております。

A 給付は1回で実施すべき
〜給付を2回に分ければ経費も約2倍〜

本日、川口市は全額現金の方針を示しましたが、同時に、年内に全額の10万円給付ではなく、5万円ずつ2回に分けて給付する方針が示されました。2回に分けるとやっぱり経費は、ほぼ2倍。ただ、こうなった一番の原因は、政府の方針が2回に分けることを基本としていること、また、年内の給付を実現するには、自治体の準備が追い付かないほど政府の判断が遅かったことです。
政府の姿勢が定まらないために、各自治体は右往左往させられ、市民もヤキモキさせられる結果となっています。政府は迅速に方針を示すべきです。

B 給付対象者への所得制限をやめるべき
〜子育て支援ならすべての子どもに支給すべき〜

これまで給付対象者に所得制限を加えることについても多くの疑問が示されてきましたが、残念ながら現時点でも所得制限の撤廃方針は示されていません。
そもそも今回の給付事業の正式名称は『子育て世帯等臨時特別支援事業』です。本当に事業の目的が子育て世帯の支援であるのならば、全ての子どもを対象とすべきではないでしょうか。しかも、夫が働き、妻は専業主婦が一般的であった時代に制度設計された古い古い児童手当の制度を使うため、ご存じの方も多いと思いますが、以下のような不合理が発生します。

例1) 夫の年収950万円+妻の年収950万円=世帯年収1,900万円 ⇒ 10万円支給
例2) 夫の年収980万円+妻の年収0円=世帯年収980万円 ⇒ 不支給

 結局政府は、多くの指摘がなされてもなお制度を変えませんでした。そもそも、児童手当制度も根本的に変更し、充実させるべきだということも改めて痛感しました。
 子育て支援は、保護者の経済的事情に左右されるのではなく、社会で子どもの育ちを支援するのだという原則に立ち返って実施すべきです。

 長くなってしまいましたが、今回の“10万円給付”にかかわって、改善要望している事項などのご報告でした。
posted by 木岡たかし at 20:42| Comment(0) | 子育て関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年12月10日

"10万円給付”について緊急要望書を提出しました!

本日、川口新風会として、川口市長あてに"10万円給付”に関する以下の緊急要望書を提出しました。

緊急要望書IMG_2541.jpg

現在、大きな議論となっている18歳以下の子どもたちに、10万円を現金とクーポンで支給する施策について、川口新風会として上記の緊急要望を行いました。
特に、クーポンでの配布に経費だけで967億円もの貴重な税金が使われる点について、多くの批判の声が上がっております。
この施策において、子育て世帯への支援という目的を達成するためには、緊急性・迅速性を優先すべきと考えております。そのため下記の2点について緊急に要望しました。

1, 緊急性・迅速性を重視し、膨大な準備のために多くの人と時間と経費を要するクーポンではなく、全額を現金で支給すること
2, 子育て世帯への支援という目的を達成するために、所得制限を設けずに支給すること

地方議会からも自民・公明政権の方針転換を求めていきます。

※川口新風会とは、川口市議会において立憲民主党所属の市議会議員3人で構成する議会内の集まりである「会派名」です。
現在の所属議員は、碇康夫市議、近藤ともあき市議、わたし木岡たかしです。
posted by 木岡たかし at 14:20| Comment(0) | 政治・社会一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする